1月20日 : アイオワから(その1) (きくちゆみ)

今日はキング牧師の誕生日、そしてアイオワで民主党の大統領候補者を決める最初の予備選挙が行われる日です。現在、8人が立候補していますが、リードして いる4人(ケリー、エドワード、ゲプハート、ディーン)とクラーク(マイケル・ムーアが正式に支持を表明した)以外はテレビが報道しないので、まだまだクシニッチの知名度は低いです。マスコミの世論調査ではクシニッチは3%ぐらいの支持率で、すでに選挙戦から脱落したかのような扱いになっています。

ところが、TruthOut というメルマガの調査で、クシニッチはまたもやトップ。このサイトの著者はスコット・リッターの本『イラク戦争』を書いたウィリアム・ ピットで、彼はどちらかというとディーンのことを積極的に取り上げていたので、この結果は以外でした。

*1月15日のTruthOut大統領選ネット投票最終結果:
  1位 Kucinich 44.5%
  2位 Dean 32.4%
  3位 Clark 14.6%
  4位 Kerry 3.6%
  5位 Edwards 2.4%
  6位 Sharpton 0.9%
  7位 Gephardt 0.7%
  8位 Braun 0.6%
  9位 Lieberman 0.3%
     投票総数: 23804  (8位のブラウンはその後立候補を辞退し、ディーン支持を表明した)

またアイオワのある喫茶店が行った「コーヒー豆投票」(お客さんにコーヒー豆一粒を支持する候補者のところに入れてもらい、その数を数える)では、クシニッチはディーンに次いで僅差で2位。だから、まだまだ結果はわかりません。

今回の選挙では民主党の登録者数が2倍にも増えているので、新規登録者がどのような投票行動をするかは未知です。アイオワは確かに最初の選挙地なのでマ
コミの注目を浴びますが、全体の2%を決定するにすぎません。民主党の大統領候補者を決めるこの予備選は50州で順次行われ、7月にボストンで行われる党
大会で民主党候補者が決定される長ーい選挙戦です。この後重要なのは、1月27日のニューハンプシャー。2月3日のミニ・スーパー・チューズデイと3月 2日のスーパー・チューズデイ。このスーパーチューズデイまでに全票の60% が確定します。

私たちは15日にアイオワ入りして、森住卓さんの「湾岸戦争のこどもたち」の写真パネルを展示しながら、『戦争中毒』『A Prayer for America』『Children of the Gulf War』『The War Against the 3rd World』の本やビデオを抱え、カフェやレストラン、クシニッチの支持者の家などで、朝から晩までミニ講演会とコンサートを続けています。外国人の寄付が禁止されていることは前にも言いましたが、合法的に許されるのはメッセージを伝える(言論の自由はある)ということだけなので、それを精一杯やっています。この二日間は最後の遊説にアイオワ入りしたクシニッチと一緒に動きました。

クシニッチはまったく疲れ知らずで、昨日の演説ではイラク戦争での米兵の死者数が500人を越えたこと、一体彼らは何のために死んだのか、石油と大企業の利益のためではないのか、ということを中心に訴えていました。この戦争が違法で非道徳的で、米国の精神に反する、国連PKFを入れて米軍は撤退すべき、そしてイラクの石油は国連の管理下においた後、イラク人主導の政権ができたら委譲すべき、と発言すると、会場中の人が総立ちで拍手をしました。こんなことを言っている候補者はクシニッチしかいません。

「人気のある(ブッシュのこと)大統領の政策を批判するのは、自殺行為」というのが、残念ながら主流派のアメリカ人の考えなのです。既成事実に弱いのは、日本もアメリカも変わらないようです。

ディーンやクラークは反戦候補として注目と支持を集めてきましたが、彼らはイラク占領政策の継続と、軍事費の堅持、または増加を表明しています。クシニッチ陣営は「ディーンやクラークの支持者たちはまだクシニッチのことを知らないクシニッチ支持者」と見ています。実際、ディーンに失望した(言っていることと政策が違う)という人たちにあちこちで出会います。

アイオワは零下15度ぐらいでしょうか。何もかも凍っています。ハワイ、カリフォルニアとまわってきて体が緩んでいるので、急に寒いところに来て風邪をひかないように(子どもたちにもひかせないように)気をつけないと。昨晩は玄さんが親知らずが痛くて一晩中苦しみ、ついに歯医者へ行きました。ちょっと無理が続いているかも。でも子どもと私はお陰さまで何とか元気です。

なかなかネットにアクセスできない環境で、メールが読めていません。未読のメッセージが2000通も溜まっているのに、今日の分もダウンロードできてないです。お返事が遅れていることをお許しください。

最後に、みなさんに見てほしいものがあります。平和のための退役軍人会(VFP)のアーリントン・ウェスト(Arlington West http://www.veteransforpeace.org)というサイト。 VFPのサンタ・バーバラ支部の1人が、イラク戦争での米兵の戦死者がマスコミで詳細に報道されなくなったことに異議を表明し、海岸に墓標(十字架)を立てて弔うことをはじめました。毎週日曜日、サンタバーバラの海岸でこの光景が見られます。海に遊びに来た人たちが十字架が500本近く並ぶ光景を見て、絶句
します。ある人は祈りをささげ、ある人は花を手向けます。

私が彼らと出会ったのは、サンタクルーズで1月12日から14日に行われた「ワン・ダンス・サミット」で、私たちは劣化ウランについてのワークショップを、VFPはイラク戦争についてのワークショップを行ったからです。このサミットには、マイケル・パレンティやシンシア・マッキニーなども基調講演を行い、彼らともつながることができました。

VFPの「Arlington West」のワークショップでは、「メディアが伝えないなら、私たちが伝えよう」と墓標の作り方まで丁寧に教えてくれました。その日(1月13日)までの死者数は497人でした。VFPのメンバーの1人が「この数がまもなく500を越えることは、時間の問題だ」と語っていたことが、ついに現実になりました。そしてこう続けました。「もしイラク市民やイラク兵の犠牲者の墓を加えたらサンタバーバラの海岸を埋め尽くすことだろう」と。

イラク占領はうまくいっていません。米国への反発は日増しに増え、米軍と同盟軍に対する攻撃はやまないでしょう。占領が長引けば長引くほど、双方の犠牲者が増えるだけです。何も解決されていないし、何も良くなっていません。自衛隊がすでにイラク入りしたことは、こちらの報道でも大きく伝えられており、アメリカ市民もそのことに驚いています。
「本当に日本軍がイラクに行ったのか?」
「日本には平和憲法があって、違法なんじゃないの?」と聞かれます。
「日本政府は日本国憲法よりもアメリカ政府の意向を大切にする。だから私たちは日本からここまで来て、クシニッチの応援をしているのだ」と答えると、みんなが私た
ちの一見奇異な行動に納得してくれます。

アイオワから愛をこめて

きくちゆみ

 

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