3月6日 : 朝3時起きでなんでもできる?? (きくちゆみ)

 ハワイ島からの最後の原稿です。ペレの女神の住む島での最後の1泊は、友人で画家の小田まゆみさんの家にお世話になっています。まゆみさんは、私にとって生き女神のような人です。実は昨晩、コナの老人ホームでコンサートをしたのですが、それから滞在していた家まで帰って、荷造りして、翌朝出発するのでは大変だろうと、まゆみさんが誘ってくれました。
 3か月以上も旅をしてたまった家族4人分の荷物をまとめるのは、一仕事でした。でも、おかげで今この原稿を彼女のキッチンで、朝3時に起きて書かせてもらっています。子どもたちとパートナーがすやすや眠っている間に。
 このキッチンからは、健康的でとびきり美味しい料理が、毎日毎日誕生します。食材は目の前に広がる畑。その向こうには、ついこないだ工事が全面停止になったホクリア開発の土地が広がり、ケアラケクア湾が一望できます。まゆみさんはサンフランシスコ郊外からここハワイに2001年に越してきて、たった3年間で岩だらけだった土地を見事なふかふかの畑に変えました。もちろん、無農薬有機農法(バイオダイナミック農法も取り入れている)で、日本からもアメリカ中からも、来客が絶えない癒しの場となっています。
 11月末に日本を旅立ち、エルサルバドルからピースボートでアメリカにたどり着いた私たちの旅も、まもなく終わろうとしています。3月2日のスーパー・チューズデイが終わり、アメリカの民主党大統領候補はケリーに決まった、とおそらく日本では報道されていると思います。しかし、クシニッチはまだ大統領選から降りていません。
 彼が大統領選挙から降りない理由は、イラク占領をやめ、米兵を即刻帰国させたいからであり、劣化ウランの使用を即時停止したいからであり、アメリカ人から職を奪い、世界の最低賃金競争を激化させ、第三世界の人々の暮らしを追い詰めているNAFTAとWTOをキャンセルしたいからであり、平和省を設立したいからであり、アメリカ人には大学までの無料教育と国民皆保険が可能であること(ペンタゴンの予算を15%削るだけでできる)などをアメリカ国民に訴えたいからです。
 民主党予備選挙はまだまだ中盤戦であり(あと40%残っている)、6月末までは最終結果は出ません。エドワーズが選挙戦から降りた今、デニス・クシニッチ陣営が力を注ぐことは、予備選挙で少しでも多くの票(代理人)を獲得して、7月にボストンで行われる全米民主党員大会での最後のディベートをより意味のあるものにし、仮にケリーが大統領候補になっても、そのときにはクシニッチの政策を取り入れてもらうようにすることです。
 ケリーについては、以前ブッシュ大統領と同じエール大学出身で、秘密結社「スカル&ボーンズ」のメンバーである、と書きました。スカル&ボーンズについては、別に問題のない組織だ、という論評からその逆のものもありますが、私が問題にしたいのは、ケリーやブッシュに代表されるようなアメリカのごく一部の大富豪&エリート層が、自分たちの利益を最大にするように外交政策(戦争)も経済・通商政策も決定していることです。
 一生懸命働いた人がより多くの利益を得ることに私は何の反対もしません。でも、お金儲けを優先させすぎて、すべてのいのちを支えてくれている地球環境を破壊してしまったり、戦争で毒物(放射能や有毒化学物質)をばら撒いたり、アンフェアーな通商政策ですでに貧しい人をより追い詰めることを、そろそろやめ(させ)たくないですか? イラクでも、チェルノブイリでも多くの子どもたちが親よりも先に死んでしまいます。健康な赤ちゃんが生まれにくくなっています。こんなことを続けていたら、どうなるでしょうか?
 たとえば、アメリカが湾岸戦争以来好んで使っている劣化ウラン兵器は、戦争が終わった後も無差別に長期間に渡って人々の健康を蝕み、苦しみの末、いのちを奪います。アメリカ政府が劣化ウラン使用をやめない理由は、それが戦略的にもっとも効果的な兵器だから、というものですが、その考えそのものがとても近視眼的です。
 どんなに「劣化ウランと健康被害にはなんら相関関係はない。科学的根拠はない」とアメリカ政府がいいい続け、日本政府がそれに追従しても、事実は違います。湾岸戦争に従軍した米兵のなかにももう十分被害は出ており、その子どもたちまで苦しみ、死んでいっているのです。湾岸戦争から無事帰還した兵士がすでに『原因不明の病気』で1万人以上も亡くなったという事実は、隠し通せるものではなくなってきています。
 昨日は、ハワイ大学のジャーナリズムのクラスで授業をさせてもらいました。将来アメリカのジャーナリストになるかもしれない若者たちへの、大切な授業です。中にはベトナム戦争に従軍した退役軍人の学生もいました。私が授業で最初に見せたアフガニスタンでの空爆の映像に彼は不快感を示し、反発していましたが、最後には私のところに来て、両手で手を握り「あなたをサポートするために何でもしたい。ありがとう」と言ってくれました。
 3時間の授業で私は、アメリカの『正義』の戦争がどれだけ無実の人のいのちを奪っているか、劣化ウラン兵器で死んでいっているのは誰なのか、自分たちがなぜ米と野菜を育てて自給的な暮らしを目指しているか、などを映像を交えて話しました。途中で、アメリカの生んだ宝物であるいくつかのピースソングをミュージシャンのパートナーに歌ってもらいながら。ボブ・ディランの「風にふかれて」や、ピート・シーガーが歌った「花はどこへいった」の歌詞は、今もまったく古くなっていません。
 「結局、私がやろうとしていることを一言で言えば、この星の人間を含むいのちが、これからも健全に続いてほしい、それだけです」と言ったときに、彼の心に何かが届いたようです。そのためには、もう戦争はやめなくてはいけないし、もっと一人一人が自分自身のいのちをいたわって生きていくときが来ている、と続けました。自分のいのちをいたわることの具体的な行為は、例えばからだに毒を入れない、いのちを養う食べ物、すなわち近くで自然に育った旬の食べ物を感謝して食べること、そして、自分の本当にやりたいこと、心から喜べることをやって生きる、ということ。
 私の授業を受けてくれた多くのハワイ大学の学生たちから、また来てほしい、と言われてとてもうれしかったです。私を授業に呼んでくださったブリス教授に心から感謝します。思えばブリス教授とのご縁も、小田まゆみさんからいただいたものでした。本当に最近は、何から何まで感謝することばかりです。

 3月7日、関空に入ります。3月8日から20日まで関西・名古屋方面で連日講演会が予定されておりますので、お近くのみなさまにお会いできればうれしいです。予定はこちらでごらんになれます。


愛と感謝をこめて

きくちゆみ


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