民主党全国委員会のスピーチ(Speech
at the Democratic National Committee)
U.S. Representative Dennis
J. Kucinich
Candidate, Democratic Nomination
President of the United States
The Democratic National Committee
Washington, DC
Saturday, February 22, 2003
なぜ私が大統領に立候補しているか、また、どのようにして私がこの党の指名候補者になるのだろうか、と不思議に思っていらっしゃることでしょう。私の名前を発音するのは難しいです。Kucinich。Kucinich.US.というウェブサイトの通り、K-U-C-I-N-I-C-Hとつづります。私は大統領指名候補に名前を連ねていますが、かつてはクシニッチなどという変った名前は候補者にはいませんでした。かつてあったのは「スミス」のように英語圏にはありふれた名前でした。私はアングロ・サクソン偏重からマイノリティも重視した選挙へと転換し、かつてレーガン支持に回った民主党支持者たちを呼び戻したいと思います。
連邦選挙委員会で立候補者として申請する2日前、世論調査の私の支持率はわずか2%でした。私が誰なのか誰も知らないので、私には上昇あるのみです。お金?
私にとって、お金は目的(object)ではありません。というのは、今まで一度もお金が動機(subject)になったことなどないからです。でも、私が言うべき事をお話した後には、何百万人もの人々が私のウェブサイトKucinich.USにアクセスして、私のキャンペーンに寄付してくださることを期待しています。
私は、下院からホワイトハウスへ行った最後の人(注1)を送り出した州の出身であることを指摘したいと思います。確かに、それは122年以上昔のことでした。しかし、世界的気候変化によって、この100年間に起きた嵐のうちいくつが最近起こっているかを考えてみてください。私は、リベラル派の民主党がホワイトハウスへの復帰を果たす前には地獄の寒く雪の降る日があるだろうと、活動を始める前に言われました。実際、私が先週キャンペーンを始めた瞬間、凍りつくほどの温度と暴風雪がアイオワからワシントンDCへ直撃しました。でもそれは、私たちみなが待っていた兆しなのです。皆さんに、私の準備はできているということを申し上げましょう。この党も、アメリカも、準備はできています。私たちはクローフォード・テキサスのスクウェアダンス、トラクターの牽引(暗にコネということをほのめかしている)、ポーク・リンズ(豚皮の揚げ物)、クリーヴランドのポルカ、ボウリング、キールバーサ(ポーランド風のニンニク入り薫製ソーセージ)に取って換えるつもりです。クリーヴランドというアメリカの新しい顔。Kucinich.US.。それについて考えてみてください。
もちろん、私たちには、今朝考えるべき他の事がらがあります。戦争勃発の瀬戸際にあります。私たちの国を攻撃していない国家に対する、私たち自身の政府によって先導されようとしている戦争です。この国から世界における私たちの目的の喜びを奪う戦争、この国から国内における私たちの目標にある信頼を奪う戦争。これは、私たちのうちの誰もかつて出席したことのないほどの、この党の最も重要な集いかもしれません。この会から、私たちが対抗している事に関するメッセージを送るからです。この会合で、私たちは、戦争によって分断された党になるか、平和の大義によって結ばれた党になるか明らかになります。この会合で、私たちは、楽観論と力の新しい感覚を持ち合わせた党になるか、あるいは恐怖と無益の感覚の党になるかが決まるのです。
私は大統領選の民主党内指名への候補です。さらに、私は私たちの党で最大のコーカスである「進歩的コーカス」の共同議長であり、国家安全に対する統治権を持った監視分科委員会のトップの民主党員です。私は、民主党のコーカスのほぼ2/3に相当する126人の民主党員を率いてイラク決議に反対しました。
イラクは、世界貿易センターやペンタゴンに対する攻撃に責任はありませんでした。イラクは、アル・カイダの9.11における役割に、確かな筋で関連付けられているのではありません。イラクは私たちの国に対する炭疽菌攻撃とは無関係でした。イラクは、この国家を攻撃するための武器技術を持っていません。イラクは核兵器を持っていません。ワシントンポストに報告されたように、CIAはイラクにはこの国家を攻撃する意図はないと言っていました。
国連の査察官は、イラクが使用可能な大量破壊兵器を持っていることを証明することができません。しかし、彼らが兵器を隠し持っているとすれば、私たちの侵略軍に対して使用されるでしょう。
イラクは以前は自制を保っていました。再び自制を保つことも可能です。査察は必要ですが、戦争は必要ではありません。この戦争は間違っています。この戦争は、イラクの何百万もの罪のない人々の生命を危険にさらします。政府の戦闘計画は、イラクに対する2日間のミサイル攻撃を要求するものです。合計800のミサイルが500万人の都市バクダードに向けられることになっています。侵略が、市街戦とともに続くでしょう。この戦争は、世界におけるアメリカの道徳的立場を危険にさらします。この戦争はアメリカをより安全にするのではなく、安全を低下させるでしょう。それは、私たちの国土により少ない恐怖ではなくより多くの恐怖をもたらすでしょう。
この戦争は全世界の安全を低下させ、すべての戦争がそうであるように、他の戦争を引き起こすでしょう。
この戦争は、正当な理由なしに、アメリカの息子や娘たちを危険にさらすでしょう。
この戦争は、政策の破綻の合計を明らかにします。裕福な人々のための1兆ドルの減税。イラクの戦争のための1兆ドル、しかし私たち国民が必要とするお金はないのです。
私たちは、イラクの都市を爆破するお金はあるけれど、アメリカの都市を再建するお金はない、と言われているのです。私たちには、チグリス川とユーフラテス川に架かる橋を爆破するお金はあるけれど、クリーヴランドのクヤホガ川に橋を建設するお金は無いのです。私たちには、サダム・フセインを退かせるお金がありますが、社会保障を保護するお金はありません。私たちには、イラクの人々の医療を破滅させる戦争を行うお金はありますが、アメリカ全土の人々の医療を回復できるようにする計画のためのお金はないというのです。
失業率は上昇しています。受戻し権喪失(差し押さえ)件数は上昇しています。卸値は上昇しています。貿易赤字は上昇しています。それなのに、この政府の話したいことといえば、すべて戦争に関することなのです。人々は仕事、医療保障、退職保障を失っています。それなのに、この政府の話したいことといえば、すべて戦争に関することなのです。
私たちの州政府は教育、医療保障、道路の改善に資金を提供することができません。それなのに、この政府の話したいことといえば、すべて戦争に関することであり、恐れを生成することです。私たちは、平和が戦争であり、安全がコントロールであり、無実の人々を爆撃することが解放であるという、ジョージ・オーウェルの世界へ足を踏み入れています。この時代は、私たちが核兵器を廃止するために働いてきた回避と避難(ダックとカバー)の時期を離れて動き出すことをしませんでした。そして、私たちの国家が世界を従わせるために核兵器で再軍備する、嘘とごまかし(ダクトテープとプラスチックカバー)の時代に到達したのです。
誰かが前へ踏み出さなければなりません。誰かが止めるようにと言わなければなりません。誰かが、アメリカは新しい方向をとるべきであると言わなければなりません。誰かが、1932年にフランクリン・デラノ・ルーズベルトによってもたらされたような根本的な変更をする時であると言わなければなりません。私たちは市民的自由に基づいて、恐怖に対する警戒態勢と攻撃に塗り分けられた悪夢から国家を目覚めさせなければなりません。
私たちはアメリカに、その歴史的な使命は、単独行動主義と先制の暗い主義に見出されるのでなく、平和と安全のための国際協力という灯りの下に見出されるのであることを思い出させなければなりません。
私たち民主党員は、私たちが誰であるのか思い出さなければなりません。私たちは、どこから来たのか思い出さなければなりません。私たちはアメリカ人すべてに人民のための党に戻るよう注意を喚起しなければなりません。私たちはリンドン・ジョンソンの党、偉大な社会の党なのです。私たちはジョン・F・ケネディの党、ニューフロンティア政策の党なのです。私たちはフランクリン・デラノ・ルーズベルトの党、ニューディール政策の党です。私たちは人々のための党です。私たちは、職もなく、家もなく、医療保障もなく、退職保障もないような壊れた国家に向きあった大統領の属していた党です。彼は、勇気を持つよう人々を激励しました。
70年前、フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領は恐ろしい国家の前に立ち、言いました。「私たちには、恐れるものは何もない。恐れるべきは恐れることそれ自体のみである。」そして、約束に達するよう国家を燃え立たせました。それは下院へ100人の新しい民主党議員をもたらしました。それによって、包括的な権限が私たちの社会的・経済的・政治的構造に大いなる社会的変革をもたらすことができました。それは、人々のための政府を再建しました。そのような変革が、今日必要とされているのです。私たちは今日新しい始めることができるのです。民主党の皆さん、私は、今日、私たちには恐れそれ自体の他には恐れるものは何もないことを皆さんに思い出してもらいたいと思います。
今日、私たちは、アメリカの中に、私たち自身の中に、新しい信頼を必要とします。現在の状況を変更することができる信頼です。結果を変えることができる信頼です。全世界がアメリカと結び付けている自信と楽観主義を回復することができる信頼です。よりよい日へ、よりよいアメリカへ、よりよい世界へと、もう一度先頭に立って導くことができるのは民主党であるという信頼です。
民主党は、800万人の失業者がいる状況から、すべての人々のための生活賃金供給を伴った完全雇用経済へと、この国を前進させることができます。私たちの党がこれをすることができると私たちが信じるなら。全国民に伝えましょう、「はい、私たちにはできます。(注2)」と。
民主党は、NAFTAへの300万の良い賃金の仕事の損失からこの国を前進させることができ、NAFTAから離脱することができるのです。私たちはやり直すことができ、労働者権、人権および環境保護をアメリカとの貿易の条件とすることができのです。「はい、私たちにはできます。」
民主党は、医療保険のない人が4千万いる状況から、すべての人に質の高い医療保障を提供する一人の支払人システムでこの国を前進させることができます。「はい、私たちにはできます。」
民主党は、十分に財源を与えられなかった学校、十分な報酬のなかった教師、十分な教育を受けていない若者がいる現状から、教育資金を財政の一番の優先とし、すべての人々に無料の大学教育を供給することでこの国を前進させることができます。
民主党は、空気、水、土地が多国籍企業の利益によって破壊されている状況から、環境保護が惑星の生命の維持への私たちのパスであることを実証し、この国を前進させることができます。「はい、私たちにはできます。」
民主党は、破壊的な愛国法からこの国を前進させ、アメリカ人に結束する権利、言論の自由の権利、不合理な探索や抑圧からの私たちが個体として自由になる権利を回復することができます。「はい、私たちにはできます。」
ちょうどフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領が四つの自由を宣言したように、アメリカ人の人間の経済権利の宣言と共に、人民のための党としての私たちの自由および使命を取り戻す時です。
私たちは、職を得る権利を持っています。
私たちは、質のある医療保障を受ける権利を持っています。
私たちは、よい教育を受ける権利を持っています。
私たちは、適正な住宅に住む権利を持っています。
私たちは、安全な食物を手にする権利を持っています。
私たちは、安全な飲料水を口にする権利を持っています。
私たちには、恐怖のない環境にいる権利があります。
私たちには、戦争のない世に生きる権利があります。
私たちには、人間としてあるべき権利があります。
数か月のち、私は、このメッセージを携えてこの国を旅します。私は皆さんの支援を求めます。そして、この党の指名候補者となった場合には、共にこの党を勝利へ導き、この国を偉大なものへと導き、この世界を平和へと導きましょう。ありがとうございました。この国を祝福し存続してくださるように神様にお願いしましょう。
注1:ガーフィールド(James
Abram Garfield)第20代大統領と思われる。
注2:原文では、Yes
we can. Si se puede. となっているので、クシニッチ氏は「はい、私たちにはできます。」を英語とスペイン語の両方で言ったようだ。
|