劣化ウラン Depleted Uranium                

 大統領になった暁には、私は合衆国の劣化ウランの軍事目的使用を止めるよう命じ、劣化ウランの被害から回復するための国際的努力の先頭に立つつもりです。放射能汚染からの環境改善を促進します。また、アメリカが、劣化ウランの軍事目的使用をしたり、核兵器を使用したり、核兵器を製造したり、核実験を行ったり、あるいはウラン採掘を行った結果、被害を被っている人々への医療の提供と損害賠償の計画を遂行するつもりです。

 4つの戦争(第1次湾岸戦争、サラエボ、アフガニスタン、そして第2次湾岸戦争 *注)で、アメリカ軍は、何トンもの対戦車劣化ウラン(DU)ミサイル(これらは、合衆国エネルギー省によるウラン濃縮過程からの放射性廃棄物から作られた、10ポンド固形ウラン砲弾だった。)を使用しましたが、少なくとも350トンの放射性ウランが第1次湾岸戦争後にイラクに残されました。そしてさらに2000トン以上の放射性の兵器の破片(残骸)が、わが国によって現在行われている第2次湾岸戦争によってさらに投下されているのです。しかも劣化ウランの半減期は45億年です。 *注…いわゆるイラク戦争
 ペンタゴンの専門家によれば、1990年8月から91年10月の間に行われた軍事行動に参加して被った負傷や疾病の結果、およそ1万3千人の第1次湾岸戦争の退役軍人が現在までに亡くなっているということです。2002年5月の時点で、少なくとも22万1千人の退役軍人がペルシャ湾における軍事作戦に起因する負傷や疾病の結果、障害を持つに至っています。現在イラクにいるわが軍のすべての兵士達が、野ざらしになった劣化ウランの汚染にさらされています。汚染物質、水や食物に起因する病気、風土病、こういった別の戦争に彼らは常にさらされているのです。

 最近の研究は、湾岸戦争の帰還兵の子供達に、かなり高い割合で3種類の特定の先天性欠損症が見られることを示しています。そのうちの二つは、男性の兵士の子供に見られる心臓の弁の異常で、もう一つは、女性兵士の子供に見られる生殖器・泌尿器の欠損です。湾岸戦争、ボスニア、コソボのイギリスの帰還兵に関する調査では、通常の10〜14倍の染色体異常が見られるそうです。
 最近カナダの医療研究機関は、アメリカが軍事作戦を行った地域の近隣に住むアフガニスタンの人々の尿に、99年に調査したイギリスの湾岸戦争帰還兵の100〜400倍もの高濃度の放射性同位体を含んでいることを突き止めました。カナダのチームは、この放射性同位体が、ジャララバード、トラ・ボラ、マザリ・シャリフの人々に、平均で315.5ナノグラム(1ナノグラムは、1グラムの10億分の1)あることを記録しています。カブールの近くの12歳の少年は、2031ナノグラムを記録したそうです。合衆国によって定められている安全基準の最大値は、年間9ナノグラムです。増加する先天性欠損症と死産の割合は、この問題が最も高い優先順位で処理されるべき問題であることを示しています。

  人道法のスペシャリストである、カレン・パーカー法学博士によれば、兵器は次の2つの方法で違法なものになるということです。
  (1) それを禁止するある条約を採用することによって違法となる。
  (2) それが現行の戦争に関する法と慣習に違反すること無しに使用される可能性が無い場合に違法となる。

  それを禁止する条約があることによって違法に製造された兵器は、その条約を批准している国々にのみ違法です。しかし、現行法によって違法とされている兵器はすべての国にとって違法です。たとえこの兵器に関する条約があって、それを批准しない国があったとしてもこのことは事実(真理)です。劣化ウラン兵器を禁止する条約はないので、その違法性は2番目の方法によらなければならないのです。

  戦争に関する法律と慣習(人道法)は、これらの用件に関する国際慣習法同様、軍事行動、兵器、戦争による被害からの保護に関するすべての条約を含んでいます。言い換えれば、ある特定の兵器に関する条約が無い場合、その兵器に関する合法・違法の評価をすることに関して、人道法全体が考慮されなければならないということなのです。

  人道法の観点から兵器を考えた場合、次の4つのルールが導き出されます。

1

兵器は合法的戦場において、明らかに敵の軍事施設と合法的に認められた対象に対してのみ使用を許される。合法的戦場以外での兵器の使用は認められない。(「地域」に関する条項)

2

兵器は武力衝突が行われている期間のみ使用し得る。戦闘後に使用される、あるいは効力を発する兵器は、この基準に違反するものである。(「時間」に関する条項)

3

兵器はむやみに非人道的であってはならない。(「人道」に関する条項) 1899年と1907年のハーグ国際平和会議は、この概念に基づいて「不必要な犠牲」と「過剰な傷害」に関する条項を採用している。

4
兵器は自然環境に対してみだりに悪影響を与えてはならない。(「環境」に関する条項)


 劣化ウランを使用した兵器はこれら4つすべての条項に違反しています。

1

劣化ウランは、合法的な戦場のみに留まることはあり得ないので「地域」に関する条項に違反します。劣化ウランは空気中に拡散し、合法的戦場から違法の(市民生活の中の)目標物、例えば病院、学校、一般の住居、さらには戦争とは無関係な隣接する国々まで影響を及ぼします。

2

劣化ウランは、戦争が終わっても「無効」になることはありません。劣化ウランは終戦後も効力が残るので、「時間」に関する条項に違反します。いくら戦闘地域の厳密な除染をしても、何十億年もの半減期の空中に排出された超微粒子は、戦争が終わった後もずっと、かつて戦闘員だった者も、非戦闘員だった者も殺し続け、傷つけ続けます。その毒性はアメリカ軍の資料によって確認されています。米軍環境政策研究所(AEPI)所長は、連邦議会に求められたリポートで次のように明言しています。「劣化ウランの化学的、放射線学的な本質的毒性を根本的に変えることができる技術は無い。」(米軍における劣化ウラン使用の健康と環境への長期的影響:1995年6月AEPIリポート)

3

劣化ウランは非人道的であり、それゆえに「人道的」条項に違反しています。劣化ウラン兵器は、殺し合いが停止されるべき戦争終結の、そのずっと後になっても癌や腎臓疾患などによって死に至らしめるという点において非人道的です。劣化ウランは、例えば、頭部の異常、四肢の欠損、極度の奇形、生育不能の幼児のような先天的(遺伝学的)異常の原因となるものなのです。決して軍事目標などになり得ない子供達や、戦争が終わってから生まれてくる子供達に影響を与えるという点において劣化ウランは非人道的なのです。DU兵器の奇形にかかわる本質と未来の世代への遺伝子上の影響の可能性は、DU兵器の使用は結果的にジェノサイドであるとの可能性を生じるものです。

4

劣化ウランは自然環境に深刻なダメージを与えること無しに使用することは出来ないので、その点で「環境」の条項に違反しています。自然環境へのダメージには、何世代にも渡る住民への水や農地への汚染も含まれています。米陸軍は、劣化ウランの汚染は、食物と水にも及ぶことも認めています。米陸軍の初等トレーニングマニュアルである「兵士のよくある仕事マニュアル」には「注意:(劣化ウランの)汚染は、食物と水を食用としては安全でないものにする。」と書いてあります。浄化は科学的に厳密でないものであり、場合によっては貧しい国の支払能力をはるかに超えた、非常に高いものになります。

  武力による紛争(戦争)において、合法的な軍事目標に対して、戦争が行われている間は、兵器の使用は認められるかもしれません。しかし兵器が不当な苦痛や過剰な傷害を引き起こすことは許されません。兵器が「毒」を使用したり利用したりすることは許されません。兵器が環境を著しく破壊することは許されません。DU兵器は、これらの規則を破ることなしに軍事作戦で使用されることはありません。したがって違法だとみなさなければならないのです。違法な兵器の使用は人道法上の違反を引き起こし、その違反者達に、刑事責任だけでなく犠牲者と環境に対して与えた影響に関する責任も求めます。私見ですが、DU兵器の使用は、ジュネーブ条約の重大な違反行為であり、それゆえにその使用は戦争犯罪か非人道犯罪につながるものだと考えます。

  クシニッチ政権下では、劣化ウランのあらゆる違法な軍用は停止され、アメリカが劣化ウ ラン被害からの回復のための国際的な運動のリーダーとなるでしょう。

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