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労働者のホワイトハウス
(The Worker's White House)

U.S. Representative Dennis J. Kucinich
The Iowa AFL-CIO
Monday, February 17, 2003
Altoona, Iowa

 
   皆さん。私はデニス・クシニッチです。私は米国労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)の、カメラ・オペレーター組合であるIATSE(国際演劇舞台労働組合)第600支部の一会員として会費を納めています。明日、アメリカ大統領となる可能性を探りに、私はワシントンDCで立候補手続きをします。ペンシルベニア通り1600番地を「労働者のための第1番地」の住所にしましょう。

   この
2003年大統領記念日に、またもう一つの演説について再考しましょう。ゲティスバーグでなされた演説です。そこでリンカーンは祈りました、「人民の、人民による、人民のための政治はこの地球から消滅することのないように」。私が大統領に選ばれれば、アメリカでは統治者は人民なのである という覚書としてこの組合会員カードを机の上に置きましょう。

   リンカーンの精神が今日話しかけている、その「人民」は皆さんです。この部屋にいる皆さんです。通りで雪かきをし、屑を拾い集め、道路の穴を修理し、蛇口の水が流れるよう管理し、明かりを燃やし続け、そして、火を消す人たちです。アメリカの食物を植え育てる人たち、スーパーマーケットで食品を売る人たち、レストランでそれを料理にして出す人たち。人々や品物を運ぶトラックやバスを運転する人たち。郵便局で働き、郵便物を配達する人たち。私たちの近隣の安全を保護する人たち。子どもたちを教育し将来を守る人たち。私たちの健康を守り、病人を看護する人たち。鋼を生産し、社会の車輪を回す機械を作り、大きな都市の通りを縦横に走る自動車を作り、郊外をくまなく走る列車を作り、大気を高く舞い上がる飛行機を作る人たち。それはあなた達みんななのです。人民の人民のための人民による政治が宣言された時に、リンカーンが指していた人民というのは皆さんのことなのです。

   今回の選挙は、皆さんが自分自身の政府であると呼ぶことのできる政府を持つ権利、人民のための大統領を持つ権利、労働者のためのホワイト・ハウスを持つ権利に関わっています。

   今の政府の中では労働者の影響力は小さくなってきていることを私たちは知っています。
NAFTAの可決が十分な証拠です。NAFTAは製造業において新たな雇用を生み出すことを約束しましたが、実際はアメリカの労働者をがっかりさせています。NAFTAが通過して以来、300万の雇用が失われています。うち多数が製造業からです。この失業の数の一つ一つが、遠いものとなってしまった夢や粉々に砕かれた夢の数を表しているのです。この失業の数の一つ一つが、脅かされた家族や家を表しています。失われた健康保険、危うくなった退職手当、延期される子どもの教育の機会などを表しています。米国貿易赤字は2001年には4170億ドルにのぼりました。NAFTAは仕事を輸出し、貧困を輸入していることがわかります。

   
NAFTAは、米国農産物に新しい輸出市場の開拓を約束していました。米国農業は1991年から1994年にかけて、対カナダ、対メキシコ貿易では黒字でした。しかし、NAFTA施行以来、その余剰は15億ドル落ちました。農産物価格がどのように影響を受けているか見てみましょう。199495年の生産期と19992000年の生産期を比べると、米国トウモロコシ輸出量は11%減少、価格は20%落ちました。小麦輸出量は8%、価格は28%落ちました。綿は28%、価格は38%落ちました。NAFTAは小規模農場の廃業を加速しています。年間売上が100000ドルに満たない農場は、NAFTAが発効する前の割合より6倍も多い割合で破綻しています。

   
NAFTAは労働者の契約における交渉力をむしばみました。「もし賃金や手当ての削減が受理されなければ追い立てよう」と脅す力を企業に与えています。多国籍企業はNAFTAのおかげで、法律が彼らの収益性に影響した場合に、労働者の権利や環境・人権を保護するための法律を可決する政府を訴える力を与えられています。NAFTAは、人間の健康、人命および人間の品位よりも利益に価値を置いています。これが自由貿易と呼ばれるものです。それによって取り引きがなされ、私たちは自由を放棄させられています。NAFTAは、労働者の経済的公正への権利を取り消しているのです。

   労働者のためのホワイトハウスというのは何を行うのでしょうか。アメリカの大統領として私が最初に手がける仕事は、
NAFTAから離脱することです。協定の下によれば、いずれの国も6か月前に事前通達することでNAFTAから離脱することができます。

   私はその合意を使い、アメリカに二国間貿易制度を戻します。労働者権、最低賃金、人権、幼年労働禁止、環境保護の法則をそれぞれの国で遵守するという条件でなされる貿易です。

   
NAFTAWTO、国際通貨基金(IMF)は、アメリカの労働者の立場を不利にしただけでなく、世界的な貧困の増加をもたらしました。それらの機構によって変えられてしまった勢力均衡を、アメリカの大統領は回復することができるのです。

   世界銀行の本部には、「私達の夢は貧困のない世界です。」と掲げられています。ところが現実は、
30億人が1日当たり2ドル未満で生活しています。

   「繰り返されている約束であるにもかかわらず…貧困の中に生きる人々の数は、現実には
1億人も増加しました。これは、世界の収入の合計が年に平均2.5%増加するようになったのと同時に生じたことです。」とノーベル賞を受賞した経済学者ジョゼフ・スティーグリッツは言っています。

   アメリカにいる労働者の経済的立場および権利が安全でなければ、私たちは外国にいる労働者の大義を上昇させることなどできません。

   労働者のためのホワイトハウスはどのようになるでしょうか
?

   現在のホワイトハウスは、団体交渉権をむしばみ、締め出された港湾労働者に既存の契約条件下での仕事場に戻ること要求するためにタフト・ハートレー法
()を発動しました。ホワイトハウスは民間の港で働く港湾労働者の組合に加わっている人々の代わりに海軍港湾労働者を使用することを考慮していたことが報道されました。

   
NAFTAは、連邦政府の力を多国籍企業の手に委ねました。ホワイトハウスは、連邦政府の力を雇用者のもとに置くためにタフト・ハートレー法を使用しました。

   労働者のためのホワイトハウスはどのようになるでしょうか
?
   それはストライキ権を保護するでしょう。「…団体交渉以外の交渉はありません」と市民権弁護士クラレンス・ダローが言いました。大統領として、私は労働者を意志に反する仕事に戻すことを強要するどんな要求も拒絶するつもりです。雇用者は、労働者と誠実に交渉しなくてはなりません。

   労働者のためのホワイトハウスはどのようでしょうか
?
   全国民が健康保険を手にすることができるように戦うでしょう。アメリカでは誰も適切な医療を受けられないということがあってはならないのです。治療費が払えないからといって医者に行くことをためらう人がいてはなりません。大きな病気のためにそれまでの人生で働いたすべての財を失うことになるのではないかと心配する必要がないようにするべきです。

   グローバル化、
NAFTAおよび全国健康保険の3つの問題については、民主党の大統領候補者さえ話したがりません。私はそのような皆が避けたがる問題の4つ目をお伝えしましょう。誰でも、真っ先に戦争に召集されるのはアメリカの労働者の息子や娘であることを知っています。それはむかしから変わりなくいつもそうなのですから。しかし、今回のイラクに対する攻撃については、この政府は実情を明らかにしていないという点でこれまでと同じではありません。

   私はその戦争に実際に反対の票を投じたこの選挙戦で唯一の候補者です。昨年中は下院の反対派を結集して行動し、戦争に反対するために
126人の民主党員を組織しました。

   事実はこういうことです――イラクは
9.11にも、9.11でのアル・カイダの役割にも、我が国に対する炭疽菌攻撃にも、責任がありませんでした。政府は、戦争に対する正当性を明らかにしていません。イラクは、私たちの国土まで届くミサイル技術を持っていません。イラクが使用可能な大量破壊兵器を持っているという証明はなされていません。

   国連による査察を継続するべきです。査察はよく機能していましたし、再びその仕事をすることはできるでしょう。イラクは以前は自制を保っていました。再び自制を保つことも可能です。アメリカの力はいかなる国家にも攻撃させない制止力となっています。

   この戦争は間違っています。それは、この国の軍人の生命を危険にさらします。それは、イラクにいる罪のない民間人の生命を危険にさらします。私たちが何千もの民間人を殺せば、アメリカに対する怒りが増し、ここアメリカでの私たちの安全はますます低下するであろうことは誰にでもわかりきっていることです。

   私たちには、自己防衛する権利があります。それは基本的原則です。さらに、私たちには、アメリカの安全を低下させないようにする義務があります。小学生でもスポーツをする時の守備と攻撃の違いを知っていますが、アメリカは帝国支配のため、石油のため、世界の中で攻撃態勢に入っているところです。それは私たち国民のためではありません。エネルギー産業の利益によって動かされているこのブッシュ政権は、
1兆ドルの減税を富裕層に与えただけでなく、少なくとも2000億ドル、あるいはもっとかかるかもしれない戦争を起こすことにより、さらに多くの富を富裕層へと送り込むことに拍車を掛ける準備をしています。この政権下では、国民の健康を守るためのお金は計上されません。育児のためのお金は出ません。生活賃金の援助金もありません。社会保障のためのお金もありません。医療用のお金もありません。しかし、一握りの金持ちのための減税と戦争に限っては大金が使われるのです。あなたの息子や娘を戦場へ送るために費やされているのは、あなた方のお金です。そして結局は、2つの大陸上で真新しい墓が掘られているかもしれない一方で、企業は利益を収めていることでしょう。

   労働者のためのホワイトハウスは何を行うのでしょうか
?
私たちが攻撃された時には、この国家を保護します。しかし、国家を再度保護することを強いられるようになってしまうので、他の国家を攻撃することはしません。イラクだけでなくあらゆる国での軍縮に向けて働きかけるために外交手段を用います。戦争阻止が破壊を防ぐ方法であることは証明されています。それがただ一つの方法です。一旦兵器が世界で作動に向けてセットされたならば、状況はコントロールできなくなります。戦争は抑止から解き放たれ、世界中で堰を切って勃発してしまいます。

   再び、
2つの国の人々の希望は、武器排除という名のもとで、武器によって打ち砕かれようとしています。アメリカ国内の大量破壊兵器を廃棄しましょう。政府の企業コントロールは大量破壊兵器です。失業は大量破壊兵器です。貧困は大量破壊兵器です。ホームレスは大量破壊兵器です。貧弱な医療保障は大量破壊兵器です。乏しい教育制度は大量破壊兵器です。差別は大量破壊兵器です。

   私たちの税である数十億、数百億ドルをアメリカの労働者の夢の回復のために使い、経済を再建し、すべての機会を拡張するために使いましょう。私たちには、国民として人間的要求を主張し、私たちの声に反応しないような政府の持つ関心事のためにそれらの要求を放棄しない義務があります。私たちには、仕事をする権利があります。適正な住宅に住む権利を持っています。健康を保つ権利を持っています。平和は他のすべての権利を可能にする必須条件です。

   平和は労働者の権利の保護にもつながります。政府は、アメリカ政府職員組合の権利を押し戻そうとして既に国家安全保障を使用しました。また政府は、空港警備職員が組合として組織化しようとしている努力を妨げようとしています。国家の反労働者指向の議題は、スト破りだけでなく、団体交渉権への攻撃を含んでいます。さらに、それは労働者をだまし、超過勤務時間をごまかすことを含んでいます。今こそ、アメリカ中の労働者は平和の大義を強め、一方、平和のために働く人々はアメリカの労働者の大義に結集する時です。

   皆さんにはこの選挙の行方を変えることができます。労働者には力があります。アイオワ労働組合員の皆さんは、民主党大統領候補指名への門番です。皆さんの力でグローバル化を議題に据えてくださるよう求めます。
NAFTAを議題に戻すために皆さんの力を用いてください。国民健康保険を議題に戻すために皆さんの力を使ってください。そして、始まる前にこの戦争を止めてみませんか。労働者の家の出身、労働者の息子の一人、あなたの兄弟の一人である指名候補者を選ぶためにあなたの力の行使を考慮してくださるようにお願いします。皆さんにはこの選挙の辿る道筋を変えることができます。

   労働者のためのホワイトハウスは何を行うでしょうか
?
   それは人々が団結できるようにします。国民の力を示します。繁栄と平和のために働きます。連帯を創造します。それは、この国家を生んだ連帯と同じ連帯です。組合を生む連帯です。アメリカで再生を創造する連帯です。

   これは始まりです。


()タフト・ハートレー法…大統領は、国民の健康と安全が危険にさらされていると判断した場合には、タフト・ハートレー法に基づき、ストあるいはロックアウトに対する80日間の差し止め命令を裁判所に求めるよう、司法長官に要請することができる。

 

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